
問い合わせの窓口を増やせば、その分だけ事務所は忙しくなる。
確かに、そう考えるのは、とても自然なことだと思います。
私たちのクライアント士業事務所様にLINE導入を提案すると、多くの先生方が前述のような心配、不安をおっしゃいます。
ただ、反響の窓口が増えることと、事務所全体の業務量が増えることは、必ずしも同じではありません。
大切なのは窓口がいくつあるかではなく、電話・メール・LINEの「比率」がどう変わるかです。
「忙しくなる」という心配自体は、自然なものです
「LINEを入れると、ちょっとした質問が頻繁に届いて、スタッフがその対応に追われるのではないか」。
その可能性は確かにあります。
問い合わせ動線そのものは増えるので、「入れても何も変わりません」と言うのは違うと思います。
考えておきたいのは、新しい連絡が増えるのか、今まで電話やメールで来ていた連絡がLINEへ移るのか、という点です。
ここを分けて考えると、見え方が少し変わってきます。
電話は、見えないところで時間を使っています
電話対応を分解すると、次のような流れになります。
- 電話が鳴り、進行中の業務を中断して取る
- 相手・担当者・用件を確認する
- 必要に応じて保留し、担当者や顧客情報を確認する
- 回答して電話を切り、中断していた業務に戻る
通話が5分だったとしても、使っている時間が5分だけとは限りません。
負担になりやすいのは、最後の「元の業務に戻る」という部分です。
集中して進めていた仕事ほど、中断のあとすぐに同じ状態へ戻れるとは限りません。
電話対応は、通話時間だけでなく、その前後に発生する中断も含めて考えたほうがよいと思います。
その点、チャットは短い確認に向いています。
毎回「お世話になっております」から書き始める必要がなく、履歴も残ります。
日程確認や書類の到着確認など、電話でなくても済む連絡であれば、移せる余地はあります。

増えるのは動線、変わるのは「総連絡対応時間」の比率
ここで、数字を置いて考えてみます。
以下は実在する事務所の実績ではなく、考え方を整理するためのモデルケースです。
事務所全体で受ける外部からの連絡が月340件あり、そのうち7割の約240件が電話だったとします。
導入後に電話2割・メール3割・LINE5割という構成になれば、電話は約70件。
これまで電話だった約170件が、メールやLINEへ移った計算です。
1件につき通話5分、中断から元の作業へ戻るまで10分として15分と置くと、月約42時間分にあたります。
もちろん、メールやLINEの返信にも時間はかかるため、42時間がそのまま減るわけではありません。
それでも、即時対応が求められる電話から、まとめて対応できる手段へ一部が移ることで、仕事の進め方を変える余地は生まれます。
それでも、電話はなくさないほうがいい
相続の相談では、直接話せること自体に安心感を持つ方もいらっしゃいます。
声を聞いて、この先生なら任せられそうだと思った。
そうした感覚は、大切なことを相談する場面では無視できません。
ですから、全員をLINEへ移す必要はないと思います。
電話を希望する方には電話で、LINEが使いやすい方にはLINEで対応する。
従来の手段を残しながら、移せる連絡から少しずつ移していく。
このくらいの考え方が、実務上はちょうどよいのではないでしょうか。

気をつけたいのは、チャネルの数より「見落とし」
むしろ考えておきたいのは、届いた連絡を誰が確認し、誰が対応するのかという点です。
事務所共通のアカウントに届いたメッセージを誰かが一度見たものの、担当者への引き継ぎが曖昧になれば、対応漏れにつながります。
相続案件では、ご本人だけでなくご家族など複数の方とやり取りすることもあり、相手が増えるほど対応状況は見えにくくなります。
導入前に、少なくとも次の3点は決めておいたほうがよいと思います。
- 誰が最初にメッセージを確認するのか
- 自分の担当ではなかった場合、誰に引き継ぐのか
- 引き継いだことを、どこに記録するのか
反対に、ここが曖昧なままであれば、電話とメールだけでも対応漏れは起こります。
問題はLINEそのものというより、受けたあとの運用設計のほうにあると思います。
「入れるかどうか」より、「どう使うか」を先に
窓口が増えるから大変そうだ、という理由だけで判断してしまうのは、少しもったいないと思います。
今どのくらい連絡が来ていて、そのうち本当に電話でなければならないものがどれだけあるのか。
一度整理してみるだけでも、自事務所にLINEを入れる意味があるかどうかは、かなり見えやすくなるはずです。
弊社では、相続の見込み顧客や受任後のお客様へのフォローをLINEで仕組み化する「サズカルステップ」を提供しています。
個別のやり取りだけで終わらせず、継続的な接点として活用していきたい先生方にとって、一つの選択肢として知っていただければと思います。
