相続の過去客フォローでリピート相談を増やす3つのステップ

2026.06.09 17:25

 

 

相続手続が終わった瞬間、顧客との関係も終わっていないか

相続登記、遺産整理、相続税申告など相続手続の完了は、事務所にとっては一つの案件の区切りです。
多くの事務所では、相続手続の完了報告を最後に顧客との連絡が途絶え、そのまま数年が過ぎていきます。

実は、事務所にとって最も確度の高い見込み客は、まだ会ったことのない新規ではなく、すでに一度依頼してくれた過去客です。
一度信頼関係を築いた相手は、次の相続や生前対策の場面で、本来であれば真っ先に思い出してもらえる存在だからです。

ただし、それは「覚えていてもらえれば」の話です。
近年は金融機関や大手法人、相続ポータルサイトの参入が進み、過去客が次の相続を迎えるとき、別の窓口に流れてしまう場面が増えています。


AI検索の普及により、事務所を横並びで比較することも以前より簡単になりました。
だからこそ、関係を保てているかどうかが、数年前よりもはっきりと結果に表れるようになっています。

 

 

なぜ過去客フォローは“後回し”になるのか

顧客フォローが大切なことは、ほとんどの先生がすでにご存じです。
それでも続かないのには、はっきりした理由があります。

一つ目は、事務所スタッフが目の前の新規対応や進行中の案件で手一杯になり、完了した顧客にまで手が回らないことです。
二つ目は、過去客に連絡すること自体が「営業のようで気が引ける」と感じられることです。
三つ目は、そもそも誰が過去客なのかが整理されておらず、連絡しようにも対象が見えないことです。

フォローが続かないのは、意志や能力の問題ではなく、優先順位と仕組みの問題です。
裏を返せば、仕組みさえ整えれば、特別に頑張らなくても続けられるということです。

大切なのは、これら「顧客フォローが続かない」3つの理由が、いずれも仕組み構築で補える点です。
忙しさは自動配信で、営業のような気まずさは情報提供という形に置き換えることで、対象の見えなさは顧客情報管理&リスト化で、それぞれ解消できます。

 

 

過去客には「次の相続」と「周りへの紹介」が眠っている

一度相続手続を担当した顧客の周囲には、次のニーズが静かに控えています。
配偶者の二次相続、親世代の生前対策、兄弟姉妹や知人の相続など、相続は一人の顧客から連なって生まれる分野です。

たとえば、お父様の相続手続を担当した顧客であれば、その先には、お母様の二次相続、実家不動産の処分、ご本人やお子様世代の生前対策といった相談が控えています。

また、遺言書作成を支援した顧客であれば、数年後、本人の健康問題の変化、資産状況の変化、家族関係の変化などによって、遺言の書き直しはもちろん、その他生前対策のニーズが隠れています。


これらは、関係さえ途切れていなければ、改めて他の事務所と比較されることなく、自然に戻ってくる案件です。

そして、満足した顧客は、身近な人が相続で困っているとき、自然に事務所の名前を口にしてくれます。
新規広告では決して届かない、信頼に裏打ちされた紹介がそこにあります。
広告費の高騰やAI検索の影響で新規獲得の効率が下がるなかでは、こうしたリピートと紹介が、収益の安定にいっそう直結します。

つまり過去客は、新規獲得コストをかけずにアプローチできる、最も確度の高い見込み客層なのです。
この層を眠らせたままにすることは、すでに持っている資産を使わずにいるのと同じです。

 

 

コストをかけずに接点を保つ3ステップ

過去客フォローは、大がかりな仕組みから始める必要はありません。
むしろ、最初から完璧を目指すほど、続かなくなりがちです。
次の3つのステップで、負担を抑えながら接点を保てます。

 

 

ステップ1 過去客リストを整える

まずは、過去1年分(できれば数年分)の相続案件を洗い出し、連絡先と案件の種別を一覧にします。
完璧なデータベースを目指す必要はありません。
名前・連絡手段・担当した手続の種類が分かれば、最初の一歩としては十分です。
リストは後から育てていく前提で構いません。まずは散らばっている情報を一か所に集めることが出発点になります。

 

 

ステップ2 定期的に情報を届ける

次に、月に1回程度、相続や生前対策に役立つ情報を届けます。
ここで効いてくるのが、売り込みにならない「自然な連絡の口実」を持っておくことです。
制度変更や時事ネタなど、例えば2026年4月に始まった住所等変更登記の義務化のような制度変更のお知らせは、過去客に連絡する正当な理由になります。
制度の案内をきっかけに接点が生まれ、そこから生前対策の相談へと自然につながっていきます。

配信の手段としては、開封率の高いLINEが有効です。
メールに比べて読まれやすく、事務所側の手間も小さく抑えられます。

配信する内容は、相続に関するよくある質問、制度改正のポイント、実際の手続でつまずきやすい点など、読み手の役に立つものを基本にします。
毎回ゼロから書き起こす必要はありません。いくつかの型をあらかじめ用意し、順に回していけば、無理なく続けられます。

 

 

ステップ3 再相談の入口を常設する

最後に、発信の中に、気軽に相談できる入口を必ず用意します。
個別相談や面談の案内を一文添えておくだけで、情報に触れた顧客が「そういえば、あの件を相談しておこうか」と動けるようになります。
電話・メール・LINEなど複数の連絡手段を示しておくと、顧客は自分に合った方法で動けます。
大切なのは、売り込むことではなく、必要になったときに思い出してもらえる状態を保つことです。

 

 

事例:過去客フォローでリピート相談が前年比180%に

関西圏のとあるB司法書士法人では、もともと過去客への積極的なフォローを行っておらず、リピート相談は年に数件程度にとどまっていました。
そこで、過去客リストを整備し、LINEでのコラム配信を始めたところ、配信をきっかけとした再相談が大きく増えていきました。
その結果、リピート相談数は前年対比で180%に伸びています。

特別な広告費を投じたわけではありません。
すでに事務所が持っていた「過去客」という資産を、活かせる形に整えただけです。
一度仕組みを整えてしまえば、その後は大きな手間をかけずに接点が続いていきます。

過去客フォローは、新しい営業活動を増やすことではありません。
すでに築いた信頼を、途切れさせないようにするだけの取り組みです。
そしてその積み重ねが、一人の顧客から生まれる受任の幅を広げ、事務所の収益の土台を支えていきます。

過去客との関係を保つことは、新規集客に追われ続ける経営から抜け出すための、最も現実的な一歩です。
その具体的な仕組みと進め方は、無料のオンデマンドセミナー「『相続顧客フォローの仕組化』で受任単価&LTV最大化セミナー」で詳しく解説しています。
下記よりいつでも視聴いただけます。


執筆者のご案内

川崎 啓
株式会社 Samika
代表取締役 川崎 啓

東証一部上場のコンサルティング会社にて15年勤務し、士業事務所の相続・生前対策分野に特化したコンサル部隊を立上げ、累計300事務所を超える相続マーケティング、業務生産性向上の支援実績がある。

現在は株式会社 Samika(サミカ)を2024年1月に創業し、「士業」×「相続」の分野で経営コンサルティングを行っている。また、士業事務所の相続分野におけるマーケティングを支援するLINE拡張システム「サズカルステップ」を開発、提供しており、利用事務所を増やしている。

「『相続で家族、社会が強くなる』を応援する」をミッションとして、相続分野に取り組む士業事務所の経営、マーケティング、業務DX化支援を行っている。

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