
なぜ二次相続提案は“営業っぽく”なってしまうのか
相続手続の受任顧客に対して、二次相続提案や遺言書作成の提案をすべきだと、多くの先生はすでに分かっています。
それでも切り出せないのは、「顧客から営業のように受け取られ、関係が悪くなるのではないか」という不安があるからです。
その不安自体は、間違っていないし、もっともなことだと思います。
実際、タイミングを外した提案は、顧客に「営業された」という印象だけを残し、せっかくの信頼を損ねます。
ただ、提案が営業っぽくなる本当の原因は、話の中身ではありません。
提案するタイミングと文脈が、顧客の状態と合っていないことにあります。
ヒアリング時:顧客の本音は「手続きで精一杯」「先のことは後で」
相続手続の依頼前はもちろん手続きの業務処理最中、顧客の頭は目の前の手続きでいっぱいです。
「先のことも大事なのは分かるけれど、まずは手続きを終わらせたい」というのが、多くの顧客の本音です。
ここで事務所が将来の話を持ち出しても、顧客は「後で考えます」と受け流します。
そして、その「後で」は、たいてい訪れません。
事務所の側に悪気はありません。むしろ顧客のためを思って、早めに伝えようとします。
しかし、顧客の関心はなく「提案は不要」と言われると、その後に改めて提案をするというのはハードルが高い。
将来の相続対策のことなど先のことは、いまではなく、もっと適切なときに話せばよいのです。
相続手続完了報告時:提案が遅すぎる「また必要だったら来ます」
多くの事務所は、手続きの完了報告の場で二次相続を切り出そうとします。
一見、区切りがよく自然なタイミングに思えますが、これはよくある勘違いです。
完了報告のとき、顧客の気持ちはすでに「終わった」に切り替わっています。
一区切りついて安心した相手に将来の話を始めても、心の扉は閉じたあとです。
提案する側とされる側の意識が、ここで静かにすれ違ってしまいます。
完了報告は、事務所にとっては「成果を伝える場」ですが、顧客にとっては「ようやく解放される場」です。
この温度差を見落とすと、丁寧に説明するほど、かえって距離が生まれてしまいます。
本当の好機は「遺産分割協議書を共有・確認する」その瞬間
では、いつが最大の好機なのか。
それは、遺産分割協議書がまとまり、その内容を顧客に共有・確認してもらう、その瞬間です。
このとき、財産の全体像と相続人の関係が、資料の上にすべて並んでいます。
顧客自身もまだ案件に関与しており、「自分の家の相続」を具体的に考えている状態です。
二次相続のリスクが、抽象論ではなく目の前の事実として“見える”——この条件がそろうのは、この瞬間だけです。
完了後の顧客が「終わったこと」として距離を置くのに対し、この段階の顧客は、まだ当事者として案件に向き合っています。
同じ内容でも、当事者として聞く話と、他人事として聞く話では、受け止め方がまるで違います。

押し売りにならない切り出し方
切り出し方にはコツがあります。
「その場の事実 → 気づき → 面談誘導」の順で、自然に橋渡しをします。
まず、協議書を見ながら事実を確認します。
「今回は、お母様が大半を相続される形ですね」。
次に、そこから気づきを促します。
「この財産は、将来お母様に相続が起きたとき、今度はお子様たちが同じ手続きを経験されることになります」。
そのうえで、面談へつなぎます。
「今は全体像が見えているので、対策を考えるにはちょうど良いタイミングです。よろしければ、改めてお時間をいただけますか」。
ここで売り込む必要はありません。
目の前の事実を示し、顧客自身に気づいてもらうだけで、提案は自然なものになります。
この流れが効くのは、結論を押しつけず、顧客自身に必要性を発見してもらえるからです。
人は、他人に勧められたことよりも、自分で気づいたことのほうが、はるかに動きやすいものです。
提案を仕組みにすると、遺言書受任はここまで伸びる
関東圏のとあるA司法書士法人では、もともと二次相続提案を積極的には行わず、顧客から依頼があれば対応する程度でした。
そこで、顧客管理と二次相続提案の流れを整え、手続きの処理中からLINEで情報を届ける仕組みを作りました。
その結果、相続手続を受任した顧客からの遺言書作成の受任数が、300%に伸びています。
ポイントは、提案を担当者の力量任せにせず、仕組みとして再現できる形にしたことです。
担当者が代わっても、経験の浅いスタッフが対応しても、同じ品質で提案できる。これが仕組みの強みです。
適切なタイミングで自然に提案できる流れを持つ事務所は、顧客との窓口を握り続け、一人の顧客から長く受任を積み重ねていけます。
一度の手続きを、二次相続や生前対策へとつなげる入口にできるかどうかで、事務所の収益構造は大きく変わります。
二次相続提案は、タイミングと切り出し方を整えるだけで、無理なく受任へとつなげられます。
その具体的な提案フローと仕組み化の進め方は、無料のオンデマンドセミナー「『相続顧客フォローの仕組化』で受任単価&LTV最大化セミナー」で詳しく解説しています。
下記よりいつでも視聴いただけます。

