データで導くチームの成長戦略|相続業務における「KPIを見る力」の重要性

2025.11.03 15:38

なぜ今、士業事務所経営に「数字の見える化」が必要なのか

「うちの事務所、頑張っているのに売上が伸び悩んでいる」
「どの施策が効果的なのか、正直わからない」
「スタッフが忙しそうだけど、何に時間を使っているのか把握できていない」

こうした悩みを抱える士業事務所のリーダーは少なくありません。
特に相続・生前対策業務に注力している事務所では、紹介チャネルの多様化や業務の複雑化により、「感覚」だけでマネジメントすることが難しくなっています。

本記事では、KGI・KPI管理を通じて「データで導くチームの成長戦略」を実現する方法について、実践的な視点から解説します。

常に忙しいのに、業績が上がらない。
それは「もったいない時間」の使い方をしているからかも

多くの事務所が着実に成長を続けている一方で、次のような「もったいない時間の使い方」をしているケースも見受けられます。

 成果につながらない関係構築、施策に時間を使ってしまった
  例:案件紹介を貰えていない他業種事務所に、なんとなくこちらからの案件紹介を続けている

 勘と経験に頼った判断で、正確な優先順位づけができなかった
  例:売上獲得のための施策で、成果に繋がらないセミナーをなんとなく継続して実施していた

 伸びている方法を他チームに共有できなかった
  例:Aさんが担当している相続面談の「受任率」「受任単価」が高いのに、所内でルール化&共有できていない

これらの問題を解決する「羅針盤」となるのが、KPI管理による数字の見える化です。


KGI・KPI管理の本当の目的とは?

多くのスタッフにとって、「反響入力」や「案件入力」は"面倒な作業"に感じられるかもしれません。
しかし、入力作業の真の目的は、「チームの時間を削るもの」ではなく、「リーダーがチームの時間を守るための材料を集める取組み」なのです。

KPI管理がない場合 vs KPIで可視化した場合

つまり、KPI管理は「本部主導の数字管理」ではなく、各チーム・支店が自らの戦略を立てるために"数字の見える化"が必要であるという考え方なのです。

相続・生前対策業務の【売上公式とKPIツリー】

相続・生前対策業務における売上は、次の公式で表されます。

売上  =  客数(人)  ×  客単価(円)


これをさらに分解すると、以下のようなKPIツリーが見えてきます。

このツリーを見れば、「売上を伸ばすためにはどこに手を打つべきか」が明確になります。

KPI管理で何が見えるようになるのか

ここで、KPI管理を実際に活用する際の視点をご紹介します。

質問1:今期「紹介件数」が最も多いルートTOP3は?


この質問に即答できるでしょうか?多くの事務所では、「たぶんAさんのルートが多いかな…」という感覚的な把握に留まっています。
しかし、KPIダッシュボードがあれば、紹介ルート別の反響数・受任数・売上額が一目瞭然になります。

質問2:その中で、昨年度より伸び率が最も高いルートは?


件数が多いルートと、伸びているルートは必ずしも一致しません。
**伸び率の高いルートこそ、今後さらに投資すべき「成長チャネル」**である可能性があります。

質問3:「紹介チャネル別 受任単価TOP3」はどのルート?


同じ「1件の受任」でも、チャネルによって受任単価は大きく異なります。
高単価案件を獲得できるチャネルを把握することで、ROI(投資対効果)を最大化できます。

シンプルな3つの営業戦略立案について

KPIが見えるようになったら、次は戦略の立案です。基本となるのは以下の3つです。

①成果の出ているチャネルに経営資源を集中投下


伸びているチャネルをさらに強化し、ROI(投資対効果)を最大化します。
例:月3件の受任を生み出している紹介ルートに対し、訪問頻度を増やす、専任担当をつける、など

②成果の出ていないチャネルは撤退・コスト削減を検討


限られたリソースを効率的に配分するため、低パフォーマンスチャネルを見直します。
例:半年間で反響ゼロのチャネルへの訪問を一旦停止し、その時間を別チャネルに振り向ける

③新規チャネルの発掘と小規模テストに投資


他チーム、他支店の成功事例から「チャネル×成功要因」をルール化し、取り組みの実行・成果検証を行います。
可能性があれば投資を増やしていきます。
例:別支店で成功している「地域包括支援センターへのアプローチ」を自支店でも小規模テスト

リーダーに求められる姿勢

各チーム・支店の戦略、取り組み内容、体制は全く異なります。
だからこそ、リーダー自身が数字を見て、自チームの戦略を立てることが重要です。

自分たちの強みや課題を"可視化"し、チームの資源の投資先を決めること。
これこそが、データドリブン時代のリーダーに求められる姿勢です。


✅ 反響・案件管理・入力作業は「成果を出すための手段」
最も成果が出る取り組みに資源を集中させる「羅針盤」である

✅ リーダー自身が数字に主体的に関わる
感覚ではなく、データに基づいた戦略立案を

✅ チーム内での成果分析・戦略検討の文化形成
数字を見て議論する文化が、組織全体を強くする

✅ グループ全体として、KPIを軸にした"成果共有サイクル"の定着
成功事例を横展開し、組織全体の成長スピードを加速させる

相続・生前対策業務に特化したKPI管理/BIツール

「KPI管理が大事なのはわかったけど、どうやって始めればいいの?」
「Excelでの管理は限界を感じている…」

そんな相続・生前対策業務に注力する司法書士事務所のために、Samikaでは以下のサービスを提供しています。

📊 反響管理・受任管理表(Googleスプレッドシート版/Kintone版)

  • 紹介チャネル別の反響数・面談数・受任数を一元管理
  • 面談誘導率・受任率などの主要KPIを自動計算
  • チーム別・担当者別の実績比較が可能

📈 BIツール(ダッシュボード)

  • リアルタイムでKPIを可視化
  • 前年同月対比、目標達成率が一目でわかる
  • 紹介ルート別のシェアや受任単価ランキングを自動生成


🎯 導入支援・運用サポート

  • 貴事務所の業務フローに合わせたカスタマイズ
  • スタッフ向けの入力研修・活用研修
  • 定期的なデータ分析サポート

「自分たちの事務所でも活用できるか知りたい」
「まずは話を聞いてみたい」

そんな方に向けて、Samikaでは無料相談・デモを実施中です。
相続・生前対策分野の反響管理、案件管理、BIツールの導入を検討されている事務所様はお気軽に株式会社 Samikaにご相談下さい。


執筆者のご案内

株式会社 Samika 
代表取締役 川崎 啓

東証一部上場のコンサルティング会社にて15年勤務し、士業事務所の相続・生前対策分野に特化したコンサル部隊を立上げ、累計300事務所を超える相続マーケティング、業務生産性向上の支援実績がある。

現在は株式会社 Samika(サミカ)を2024年1月に創業し、「士業」×「相続」の分野で経営コンサルティングを行っている。また、士業事務所の相続分野におけるマーケティングを支援するLINE拡張システム「サズカルステップ」を開発、提供しており、利用事務所を増やしている。

「『相続で家族、社会が強くなる』を応援する」をミッションとして、相続分野に取り組む士業事務所の経営、マーケティング、業務DX化支援を行っている。