相続手続案件の紹介獲得に最適な葬儀社チャネル開拓
士業事務所様の相続分野におけるコンサルティングの中で、相続案件の紹介獲得のため「葬儀社開拓」について聞かれたり、我々からご提案をする機会も多いです。
特に、司法書士や行政書士など相続手続業務がメインの業種で、WEBマーケティングの競争が厳しくなってきているエリアで展開されている士業事務所は「相続の商流の川上」を考えると、葬儀社は外せないチャネルであると思います。特に、大手の行政書士法人や司法書士法人が全国で運営、展開する大手葬儀社への開拓を進めているという話を耳にされた先生方も多いと思います。
「今から葬儀社開拓しても手遅れでは?」
「大手が既に動いているなら、今から参入しても遅いのでは?」と思われる先生方も多いと思います。
たしかに全国展開しているような大手葬儀社は、複数の大手士業法人が既に入り込んでいる状況です。
たしかに全国展開しているような大手葬儀社は、複数の大手士業法人が既に入り込んでいる状況です。
ところが、相続手続の受任実績が日本でもトップクラスの行政書士法人の代表から、以前こんな話をお伺いしました。
「士業事務所にとって葬儀業界との連携は、まだまだ余地がある分野だ」
大手未満の地元の中堅葬儀社(年間500件程度以下の葬儀を扱う規模)では、決まった士業事務所と提携しているところがまだそれほど多くないからです。アプローチの仕方次第で、十分入り込める可能性があるということです。

「葬儀社開拓には紹介手数料、キックバックが必要」は本当か?
葬儀社連携と聞くと、「紹介手数料やキックバックを払わないといけないのでは?」と考える先生方が多いようです。
たしかにそういうことを求める葬儀社もありますが、必ずしも必要というわけではありません。
たしかにそういうことを求める葬儀社もありますが、必ずしも必要というわけではありません。
実際、私たちのクライアント事務所の中には、紹介手数料を一切払わずに葬儀後の相続見込み客を継続的に紹介してもらっている事務所があります。
葬儀施行顧客の紹介からの紹介手数料ではない部分に、士業事務所との連携の価値を感じ、大事な顧客に相続専門家としてご紹介されているのです。
最近は士業事務所から葬儀社へのアプローチも増えているため、葬儀社側も連携先を選ぶ基準が変わってきています。
手数料の有無だけでなく、どんな価値を提供してくれるかで判断するケースが増えているのです。
葬儀社連携で相続紹介案件を増加させた実際の成功事例
どの程度の成果が期待できるのか、実際のクライアント事例をお話しします。
東北のある司法書士法人は、地域でトップクラスの葬儀社にアプローチしました。
その葬儀社には既に税理士法人との関係がありましたが、葬儀社が困っていることを一緒に解決するなど、地道に貢献を続けました。
その葬儀社には既に税理士法人との関係がありましたが、葬儀社が困っていることを一緒に解決するなど、地道に貢献を続けました。
その結果、取組み開始1年程度で年間130件の相続見込み客を紹介してもらえるようになり、年間1,500万円の売上につながっています。
関東のある行政書士法人は、葬儀社との付き合いが全くない状態からスタートしました。
地元の葬儀社をリストアップして電話でアポを取り、葬儀をされたお客様向けの勉強会を継続的に開催する中で信頼を築いていきました。
地元の葬儀社をリストアップして電話でアポを取り、葬儀をされたお客様向けの勉強会を継続的に開催する中で信頼を築いていきました。
最終的に、取組み開始から1年半程度で年間220件の相続見込み客紹介を獲得し、年間1,900万円の売上を達成しています。
葬儀社が抱えている課題/士業の貢献ポイントは?
葬儀社との連携をうまく進めるには、まず葬儀業界の現状を知っておく必要があります。
今、葬儀業界は主に2つの大きな問題を抱えています。
今、葬儀業界は主に2つの大きな問題を抱えています。
1つ目は葬儀施行見込客獲得の競争激化です。
昔からある互助会系の葬儀社と、比較的新しい専業葬儀社との競争が激しくなっています。
昔からある互助会系の葬儀社と、比較的新しい専業葬儀社との競争が激しくなっています。
互助会を解約して新しい葬儀社と契約する人も増えているため、新規のお客様を獲得するためのコストがどんどん上がっています。
2つ目は葬儀単価の大幅な下落です。
コロナの影響で葬儀の規模が縮小され、家族葬が中心になりました。
コロナの影響で葬儀の規模が縮小され、家族葬が中心になりました。
樹木葬や海洋散骨など、従来とは違う形の葬儀も増えています。
その結果、1件あたりの葬儀代金が大きく下がり、利益も出にくくなっている葬儀社が増えています。

相続に強い士業事務所だから価値提供できること
このような課題を抱えている葬儀社に対して、士業事務所はどんな手助けができるでしょうか。
まず葬儀以外での収入源づくりのお手伝いができます。
葬儀をされたお客様に相続手続きのご案内をして士業事務所との面談につなげたり、葬儀後のフォローとして相続手続きの無料相談を実施するなど、新しい収入の柱を作るサポートができます。
また葬儀のお客様を増やすお手伝いも可能です。
相続や生前対策の相談でお見えになったお客様の中で、葬儀の準備を考えている方をご紹介したり、遺言書の書き方や身寄りの問題といったテーマでセミナーを一緒に開催することで、葬儀の見込み客を増やすお手伝いができます。
既存の連携先がいても大丈夫
営業先の葬儀社で「もう決まった士業事務所がいるので特に不満はない」と言われることはよくあります。
でも、そこで諦める必要はありません。
でも、そこで諦める必要はありません。
むしろ、既存の士業事務所が葬儀後のお客様との関係作りをしてくれているおかげで、連携しやすい環境ができているとも言えます。
既存の士業事務所に対する不満や課題を解決できれば、紹介先の候補に加えてもらえます。
そして実際に良い結果を出せば、将来的に切り替えてもらうことも十分可能です。

葬儀社に選ばれる事務所になる為、他の事務所との差別化ポイント
では、具体的にどんな点で差をつけられるでしょうか。
【お客様へのアプローチ方法】では、葬儀をされたお客様に積極的に電話をかけて相続の面談につなげたり(アウトバウンド)、葬儀社の営業担当者から直接お声がけしてもらう(インバウンド)といった、より積極的な取り組みが効果的です。
【面談の担当者や対応分野】も大切です。
既存の連携先が税理士事務所で相続税がかかるかどうかの確認しかしていない場合、司法書士や行政書士が初回面談を担当して、もっと頻繁に発生する相続手続きをサポートすることで、受任率や件数を大きく伸ばせます。
【対応できる相続業務の範囲を広げること】も重要です。
相続登記や相続手続きだけでなく、相続税申告、不動産売却、二次相続の提案なども含めてトータルでサポートすることで、受任件数も受任金額も顧客満足度も向上させることができます。
相続登記や相続手続きだけでなく、相続税申告、不動産売却、二次相続の提案なども含めてトータルでサポートすることで、受任件数も受任金額も顧客満足度も向上させることができます。
【進捗報告と数値管理】をきちんと行うことで、葬儀社との信頼関係を深められます。
葬儀社から紹介された相続見込み客がどうなったか、どこまで進んでいるか、完了した案件の内容や売上まで、タイムリーに共有して連携の成果を分かりやすく示すことが大切です。
葬儀社から紹介された相続見込み客がどうなったか、どこまで進んでいるか、完了した案件の内容や売上まで、タイムリーに共有して連携の成果を分かりやすく示すことが大切です。
【業務の質とスピード】も差別化要因です。
毎月何件紹介を受けて何件完了したか、今どれくらいの案件が進行中か、1件あたり平均どのくらいで完了するかといった情報を定期的に報告することで、葬儀社に安心して紹介してもらえる関係を作れます。
毎月何件紹介を受けて何件完了したか、今どれくらいの案件が進行中か、1件あたり平均どのくらいで完了するかといった情報を定期的に報告することで、葬儀社に安心して紹介してもらえる関係を作れます。
葬儀社に「業績アップのパートナー」として関係構築できるように
葬儀社との連携は、一度つながりができれば終わりではありません。
継続的に成果を上げるには、定期的な情報交換と改善が欠かせません。
葬儀社の困りごとを継続的に解決し、数字で成果を示し、必要に応じて連携の方法を見直していく。
こうした取り組みを通じて、長期的で安定的な相続案件の紹介につなげることができます。
Web集客が厳しくなる中、葬儀社との連携は相続案件を安定的に獲得できる有効な手段の一つです。
正しいアプローチと継続的な関係作りで、相続案件を大幅に増やしていただければと思います。
執筆者のご紹介
株式会社 Samika
代表取締役 川崎 啓
東証一部上場のコンサルティング会社にて15年勤務し、士業事務所の相続・生前対策分野に特化したコンサル部隊を立上げ、累計300事務所を超える相続マーケティング、業務生産性向上の支援実績がある。
現在は株式会社 Samika(サミカ)を2024年1月に創業し、「士業」×「相続」の分野で経営コンサルティングを行っている。また、士業事務所の相続分野におけるマーケティングを支援するLINE拡張システム「サズカルステップ」を開発、提供しており、利用事務所を増やしている。
「『相続で家族、社会が強くなる』を応援する」をミッションとして、相続分野に取り組む士業事務所の経営、マーケティング、業務DX化支援を行っている。