相続市場は今後も成長を続ける、稀有な市場
「相続市場の現状」と「それを取り巻く競合環境」について、要点を絞ってお伝えします。
相続市場を巡る競合環境の変化と競争激化
次に、競争環境についてです。
現在、相続市場には大手の税理士法人が次々と参入し、マーケティング面で圧倒的な存在感を放っています。
Webマーケティングを駆使して全国規模で集客を強化しています。
このような大手の台頭により、資本力・ブランド力・人員体制において優位な税理士法人が、司法書士・行政書士業界のマーケットシェアを奪っている現状があります。
さらに、税理士法人だけでなく、不動産会社・金融機関・保険会社といった他業種も、相続関連マーケティングの強化に注力しています。
試しに「相続+地域名」で検索してみてください。
上位に表示されるのは、司法書士や行政書士事務所のサイトよりも、金融機関や不動産会社のサイトが多く、しかもリスティング広告の出稿も積極的です。
たとえば三菱UFJ銀行も相続の専用ポータルを開設し、広告出稿を強化しています。
不動産会社も、相続をきっかけに不動産売却ニーズを取り込む目的で、相続関連の集客に取り組むケースが増えています。
これまでWebから安定的に問い合わせがあった先生方も、ここ3〜4年で「反応が減ってきた」「問い合わせ単価が上がった」と感じている方が多いのではないでしょうか。
さらに最近では、士業事務所がグループ内で不動産仲介事業を立ち上げ、相続案件から自然に不動産売却を受任するスキームも増加しています。
「不動産も扱っています」とは表に出さず、相談の流れの中で売却サポートに入る、というケースもよく見られます。
実際、先ほどの大手士業法人の多くは、すでにこうした形で不動産事業を展開しています。
このように、相続市場は今後も拡大していく一方で、大手や他業種の参入により、司法書士・行政書士の立ち位置は年々厳しくなっているのが実情です。