相続に取り組む士業事務所特有の強みと課題
相続分野の相談は、顧客の極めてプライベートな情報に触れる特別な領域です。
相続財産の内訳や金額、家族関係や相続状況など、通常であれば他業種には決して開示されない機密性の高い情報を取り扱います。
士業事務所は国家資格という確固たる信頼性と安心感を基盤として、こうした繊細な情報に適切にアクセスし、専門的なサポートを提供できる点が、他業種にはない圧倒的な強みとなっています。
一方で、士業事務所には特有の課題も存在します。
顧客から明示的に要望された顕在化したニーズに対しては質の高いサービスを提供できるものの、表面化していない潜在的な課題やニーズの発掘、それに基づく能動的な営業提案が不得手である点です。
顧客情報という貴重な資産を保有しているにもかかわらず、その活用方法や積極的な提案への転換が限定的であるという現状があります。
他業種であれば多様な商品提案ができるところを、士業事務所では情報を持ちながらも十分に活用できていない、あるいは活用しようとさえ考えていないという実情があります。

他業種の相続分野への参入の狙いと課題
近年、不動産会社、金融機関、保険会社、葬儀社など多くの業種が相続・財産管理分野に注目し、積極的に参入していますが、相続事業そのものを主軸として大きな成功を収めている企業はまだ少ないと感じています。
その主な理由として、顧客側が各業種の本来の商業的意図—不動産売却案件の獲得、収益不動産の販売、金融商品の販売など—を容易に見抜いてしまうため、完全な情報開示に至らないことが考えられます。
また、これらの企業側も自社商品販売のために相続分野の専門知識を習得し、法的責任を伴う領域にまで踏み込むことへの躊躇があるのではないでしょうか。結果として、相続分野において真に顧客本位のサービスを提供することが難しくなっています。
このような市場環境の変化を受けて、最近では金融機関や葬儀社などが自社での相続サポート提供から方針を転換し、相続専門の士業事務所と連携する動きが増えています。
初期段階の顧客対応、ニーズのヒアリング、相続手続き代行などは士業事務所に委託し、その後に自社の主力商品をクロスセルするという戦略的アプローチを採用する企業が増加傾向にあります。
これは、各業種が自らの強みに集中しながら、顧客にとってより総合的なサービスを提供しようとする合理的な流れと言えるでしょう。
相続専門家としての士業事務所の価値提案
これらの市場動向からも、相続領域における最適なプレイヤーは、顧客本位の視点からも、専門性の観点からも、士業事務所であると考えられます。
士業事務所が日々の相続相談を通じて正確に把握した顧客の財産状況や家族関係などの情報をもとに、手続き代行などの顕在ニーズへの対応を確実に行いつつ、次世代への相続対策といった潜在ニーズも見据え、さらには不動産、保険、金融商品、葬儀など関連分野の専門家と連携したトータルソリューションを提供できれば、士業事務所の相続分野における価値は飛躍的に高まるでしょう。
この連携により、顧客は一か所で総合的なサービスを受けられるというメリットを享受できます。
デジタル化やAI技術の進展により士業事務所の提供価値が問われて久しいですが、相続という人生の重要局面における専門家としての価値は、10年以上前と比較しても本質的には変わっていません。
むしろ、情報過多の現代においては、信頼できる専門家による適切な助言の価値はさらに高まっているとも言えるでしょう。
相続に関する法律や税制は複雑であり、それらを正確に理解し適用するためには、依然として専門家の知識と経験が不可欠なのです。

相続領域における士業事務所の弱点を「圧倒的強み」に変えるサポートを
株式会社Samikaは、士業事務所の強みを最大限に活かしながら、潜在的なニーズの把握や提案型営業活動といった従来の弱点を、当社が開発するシステムやコンサルティングを通じて補完し、エンパワーメントすることを目指しています。
具体的には、相続に関する情報管理から提案、他業種との連携までをシームレスに支援する「サズカル」というシステムを開発・提供し、士業事務所がより包括的な価値を顧客に届けられるよう支援していきます。
このシステムを通じて、士業事務所は顧客の相続に関する情報を体系的に管理しながら、次の相続に向けた対策提案や、必要に応じた他業種との協業を円滑に行うことができるようになります。
これにより、相続分野における士業事務所の中心的役割をさらに強化し、顧客にとっても最適なサービス提供体制の構築に貢献したいと考えています。
相続という人生の大切な局面で、専門知識と信頼に基づいた最高のサポートが提供される社会の実現を目指して、Samikaは士業事務所のマーケティング支援に取り組んでいきます。