司法書士業界における分野別ライフサイクルをまとめてみました。
「ライフサイクル」とは、製品やサービスが導入期、成長期、成熟期、衰退期と進化していく過程を表す理論です。
この考え方を司法書士業界に適用すると、各業務分野の現在地と将来性が見えてきます。
このような分析のメリットは、各分野に必要な戦略が明確になる点です。
衰退期分野ではシェア確保と業務効率化での生産性向上などが求められ、成長期分野では市場開拓(マーケティング)と差別化が重要になります。
司法書士事務所が限られたリソースを効果的に配分し、バランスのとれた事業展開を図るための指針となるでしょう。

不動産登記|成熟期から衰退期|シェア獲得&生産性向上

相続手続|安定期から成長期|需要拡大に伴い競争激化で差が開く

相続手続業務は、現在、安定期から成長期へと移行しつつある重要分野です。
統計によれば、日本国内の高齢者人口は2040年まで増加し続けることが予測されており、それに伴って相続市場も今後20年にわたって拡大傾向が続くと見込まれる縮小傾向の国内市場の中でも稀有な市場といえると思います。
いわゆる「団塊世代」の相続が本格化する中、相続手続の代行需要は着実に増加しています。
しかし、この市場拡大を見越して、様々な業種からの参入も加速しています。
行政書士はもちろん、金融機関や税理士、さらには葬儀社までもが相続手続サービスに力を入れており、競争環境は年々厳しさを増しています。
このような状況下では、単なる相続登記にとどまらず、遺産整理や不動産売却、遺言書作成、家族信託提案などの二次相続に繋げるなど、相続受任単価&LTV(顧客生涯価値)向上のポイントとなるでしょう。
また、相続発生から完了までの一連のプロセスを効率化し、顧客満足度を高めながらも生産性を向上させること、司法書士資格者に依存せず非資格者、及びパートスタッフでも同じようにサービス提供ができる組織的取り組みが成功の鍵を握ります。
生前対策|成長期|マーケティング手法確立が急務

事業承継|導入期|将来性と参入障壁の両立

司法書士業界全体を俯瞰すると、成熟分野と成長分野が共存しており、事務所経営においては「攻め」と「守り」のバランスが重要です。
競争環境は確実に厳しくなっていく一方で、新たな成長機会も広がっています。
この変革期を乗り切るためには、組織力の強化と専門性の向上が不可欠であり、変化する社会ニーズを敏感に捉えた戦略展開が今後の成功を左右するでしょう。
